神経を抜かなければならない虫歯治療について

 

虫歯は、症状の進行度合いによっては歯の神経を抜く抜髄(ばつずい)治療を行う必要があります。

歯の神経を抜くということは歯の寿命を縮めるなど、歯そのものにとってはけっして望ましいことではありません。

しかし、歯科治療においては虫歯が神経にまで到達していたり、虫歯菌が出す毒素が神経をおかしてしまっている場合にはどうしても神経を抜かなければいけないケースもあります。

ここでは「神経を抜かなければならない虫歯治療」についてお話をさせていただきます。

 

歯の神経を抜かなければいけない症状

虫歯治療で歯の神経を抜くかどうかを判断する際には、虫歯菌や虫歯菌の出す毒素が神経に到達しているかを見極める必要があります。

診察の結果、もし、虫歯菌が歯の神経に達していたり虫歯菌の出す毒素が神経をおかしていることが判明した場合には、歯の神経を抜かなければいけません。

歯の神経を抜く必要がある症状は、以下となります。

 

ズキズキとした強い歯の痛みが継続している

虫歯が神経に到達すると、神経は虫歯菌によっておかされ強い痛みを継続的に感じるようになります。

神経に虫歯が達したときの痛みは「激痛」になるケースも多く、夜も眠れないほどの痛みが続くことも珍しくありません。

また、激痛ではないものの「ズキズキとした強い歯の痛み」がずっと続いている、という場合も多くのケースで虫歯が神経に到達しています。

 

冷たいものや温かいものが歯に触れるとしみる

虫歯が神経に到達しているケースでは、冷たいものや温かいものが歯に触れるとしみるようになります。

虫歯は神経に達していない場合でも冷たいものが触れるとしみるものですが、神経に虫歯が到達しているケースでは冷たいものが歯に触れると「脳にまでひびくような鋭く強い痛み」を感じるのが特徴です。

また、温かいものが歯に触れたときも痛みやしみを感じるようになります。

虫歯が神経に到達しているかどうかは「冷たいものだけではなく、温かいものが触れたときに痛みを感じるかどうか」で判断する場合もあります。

 

食べ物を噛むと強い痛みを感じる

虫歯が神経に達している場合には、食べ物を噛むと歯に強い痛みを感じるようになります。

痛みが強くて物を噛めない」といった状態のケースでは、虫歯が神経に到達しているおそれがあります。

 

痛み止めや歯痛止めなどの薬が効かない

市販されている痛み止めや歯痛止めを飲んでも痛みがひかない場合には、虫歯が神経に達している可能性があります。

 

ほっぺたやリンパ線が腫れる

神経にまで到達した虫歯を放置していると、細菌が神経を腐らせて「歯槽骨」(しそうこつ)という歯を支えているあごの骨に膿が溜まります。

あごの骨に膿が溜まるとほっぺたやリンパ線が腫れ、症状によっては顔の形が変わるほどの大きな腫れが見られることもあります。

 

歯の神経を抜く治療および根管治療について

虫歯が歯の神経にまで到達しているケースでは、歯の神経を抜く抜髄治療を行ったのち、歯の根っこの部分にあたる根管(こんかん)の内部を清掃する「根管治療」を行う必要があります。

根管治療においては、神経に到達した細菌を残さない確実な治療を行うことが大切です。

 

神経の除去をする

歯の神経を抜く抜髄治療を行う際には、虫歯菌や細菌におかされた神経を取り残さないように注意しなければなりません。

歯の中を通っている神経の管の数は、前歯や小臼歯が1~2本、大臼歯は4本となり、いずれも取り残しがないように処置をする必要があります。

 

根管治療を行う

歯の神経を除去する抜髄を行った後は、歯の根っこを掃除する根管治療に入ります。

根管治療は抜髄を行った後に、ある程度様子を見て炎症などが起きていないことを確認した上で、本格的な治療に入る流れとなります。

根管治療では、歯の根っこを清掃するため、細菌が根管の中に入らないように「ラバーダム」という薄いゴムシートのような膜を治療中に装着することにより、根管内部に治療中に発生するさまざまな飛沫が侵入することを防ぐ効果があります。

 

根管治療の具体的な流れとしては、

 

  1. 治療を受ける患者様にラバーダムを装着し、準備をします。
  2. ファイルやリーマー等の器具を使い、根管内部の神経の管をととのえ、薬剤が根管内部に確実に行き渡るようにします。
  3. 根管治療によって根管内部の神経の管をととのえた後は、根管内部に薬剤を充填して歯が虫歯菌や細菌によって再び炎症を起こさないように処置をします。薬剤を根管に充填するときには、しっかりと根管の奥の先端部分にまで薬剤が到達しているかどうかを確認します。薬剤が隙間なく根管内部に充填されていることが確認出来たら、根管にフタをして歯にかぶせるかぶせ物を作るため、治療した歯にプラスチックで出来た仮歯をつめておきます。
  4. 根管内部に薬剤を充填し仮歯をつめた後は、患者様に歯の痛みや異常が起きていないことを確認した上で歯の形を修復するためのかぶせ物を作成し、最後はかぶせ物を歯にかぶせて治療は終了となります。

かぶせ物を作るときには、患者様がご自身で歯にかぶせる素材を選ぶことが可能です。

 

根管治療中は仮歯のままで治療をやめないことが大切

患者様の中には、歯の神経を抜く抜髄を行い、根管治療を受けて仮歯のプラスチックをつめた後に治療をやめてしまう方がいらっしゃいますが、絶対にそのようなことはしてはいけません。

なぜなら、根管治療でつめる仮歯はあくまでも仮の歯であり強度も弱く、長期間の使用に耐えることが出来ないためです。

もし、根管治療中に仮歯の状態で治療をやめてしまった場合には、仮歯が取れて根管内部に細菌が侵入してしまい、歯の根っこが腐ってしまうケースもあります。

くれぐれも、根管治療は最後のかぶせ物をするまで、治療を中断しないようにしましょう。

 

根管治療を受ける際にはラバーダムを使う歯科医院を選びましょう

「歯の神経を抜く抜髄治療および根管治療について」ご紹介しました。

 

歯は、神経を抜いた瞬間から寿命が短くなります。

歯のためには出来ることなら歯の神経は極力抜かない方が良いのですが、虫歯が神経にまで達している場合には抜髄や根管治療を行い、さらに虫歯が進行するのを食い止める必要があります。

 

また、根管治療においては日本国内では歯科医院によって根管治療時にラバーダムを使用しない所もありますが、やはり、細菌の感染リスクなどの観点から、抜髄や根管治療を受ける際にはラバーダムを使用して治療を行う歯科医院を利用することをおすすめします。

 

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