クリアライナー矯正の特徴と矯正の流れや期間について

近年では「健康で美しく」という意識が高まってきており、日本国内でも矯正治療を受ける方が増えています。
昔は矯正治療と言うと「痛い」「治療に時間がかかる」「子どもがするもの」といったイメージがあったのですが、現在は目立ちにくい透明のマウスピースを使って歯並びを改善する「クリアライナー矯正」が登場したことにより、大人の方でも気軽に歯列矯正ができるようになりました。
クリアライナーは従来の矯正器具を歯に固定するブラケット矯正と比べ治療中に感じる痛みが少なく、透明なマウスピースを装着するため周りの人に矯正をしていることを知られずに歯並びを直すことができます。

今回は、人気のマウスピース矯正「クリアライナー」の特徴と矯正の流れや期間について詳しくご説明をさせていただきます。

クリアライナーの特徴

クリアライナーとは、透明で目立ちにくいマウスピースを歯に装着して歯並びを改善していく矯正方法です。
マウスピースを1日の定められた時間、装着することにより、歯を理想的な位置へ動かすことができます。
クリアライナーは接着剤を使わないためお食事の時間や歯磨きのときなど、いつでも自由に取り外し可能です。

クリアライナーは従来のブラケット矯正の「見た目の問題」や「治療中に感じる痛みや不快感」を解決した治療法であり、『快適な矯正器具』として注目を集めています。

 

マウスピース型矯正「クリアライナー」10のメリット

1.透明で目立たない

透明で目立たないマウスピースを装着するため、周りの人に矯正をしていることを知られにくい、という特徴があります。
薄い特殊なマウスピースなのでご自分から「矯正をしている」と言わなければ見た目で気づかれることはほとんどありません。

 

2.いつでも自由に取り外し可能

お食事のときや歯磨き中など、いつでも自由に患者さんご自身で取り外すことが可能です。

 

3.歯周病や虫歯にかかりにくい

従来のブラケット矯正は器具を一度装着したあと取り外すことができないため歯と矯正器具の境目に歯垢(プラーク)や食べかすなどの汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。
その点、いつでも自由に取り外せるクリアライナーであれば歯磨きの際にも歯をしっかりブラッシングすることができ、虫歯や歯周病にかかりにくくなります。

 

4.歯並びの微調整が可能

クリアライナーはステップごとにマウスピースを作り直し、患者さんのお口の状態に合わせて微調整をしながら歯並びを整えていきます。
ステップ1つごとに再度歯型をお取りして新しいマウスピースを作るため、治療期間中に細かい調整を行うことが可能です。

 

5.金属アレルギーを発症する心配がない

従来の金属製ブラケットを用いる矯正とは異なり、クリアライナーはポリウレタンでできているマウスピースを使用するため、金属アレルギーを発症する心配がありません。

 

6.矯正期間中でもふだんどおりのお食事を楽しめる

クリアライナーで使用するマウスピースはいつでも自由に取り外し可能。
矯正期間中でもふだんどおりのお食事を美味しく楽しめます。

 

7.口の中を傷つけることがない

金属ブラケットを用いる従来の矯正治療では器具が舌や頬の内側に当たり口の中を痛めてしまうことがありますが、ポリウレタン製のマウスピースを使用するクリアライナーであれば治療期間中でも口の中を傷つけません。

 

8.矯正器具を清潔に保ちやすい

従来のブラケット矯正は矯正器具を歯に固定して取り付けるためブラッシングしにくく、不衛生になりがちです。
それに対して、いつでも自由に取り外し可能なクリアライナーであれば、お手入れの際にはマウスピースをすみずみまで清掃することができ、矯正器具を清潔な状態に保ちやすくなります。

 

9.治療にかかる期間が比較的短くて済む

平均で2年から3年、長ければ4年以上の治療期間を必要とするブラケット矯正に比べ、クリアライナーは部分矯正の場合およそ3ヶ月から10ヶ月、上下の歯全体を矯正をするケースでもおよそ半年から2年程度と、比較的短い期間で矯正治療を行うことができます。

 

10.痛みを感じることがほとんどない

従来のブラケット矯正はブラケットという装置を歯に取り付けたあと、ワイヤーでブラケットを固定して強い力で歯を動かすため、治療期間中に痛みを感じやすいです。
ポリウレタン製のマウスピースを装着して歯を動かすクリアライナーは過度に強い力をかけずにゆっくり歯を動かしていくため、我慢できないような痛みを感じることがほとんどありません。(※ 治療中には多少の痛みを感じる場合があります)

 

クリアライナーの治療の流れ

①検査

レントゲンで虫歯や歯周病の有無をチェックします。
この際、もしお口の中に病気が見つかったときには患者さんのご同意を得た上で治療を進めていきます。
検査のときには必要であれば歯のクリーニングや歯石取りを行い、そのあとで歯型をお取りします。
この歯型をもとにしてクリアライナーで使用するマウスピースを作成しますが、完成までおよそ2週間程度かかるため、その間はお待ちいただくことになります。

 

②マウスピースお渡し

型取りから約2週間後にはクリアライナーができあがりますので、歯科医院に取りに来ていただきます。
このときお渡しするケースの中には「ソフトタイプ」と「ハードタイプ」の2種類のクリアライナーが入っています。

 

③ソフト装着

お渡ししたマウスピースのうち、まずはソフトタイプのものを2週間装着します。
ソフトタイプのクリアライナーは歯をゆるやかに動かす作用があります。

 

④ハード装着

ソフトタイプのクリアライナーを2週間装着したあとはハードタイプのものに変え、3~4週間装着します。
ハードタイプのクリアライナーを装着することにより歯がしっかり動き、矯正の効果が高まります。

 

⑤チェック

ハードタイプのクリアライナーを3~4週間装着したあと、再度ご来院いただきます。
ご来院時には新しいクリアライナーを作るための歯型取りを行うほか、歯の動き具合をチェックします。
型を取った新しいクリアライナーは約2週間後にできあがりますので、マウスピースが完成したときにふたたび取りに来ていただきます。

 

上記の、②マウスピースお渡し~⑤チェックまでの一連の流れを「ステージ」と呼び、この工程を3回から4回繰り返し行い、歯をじっくりと動かしていきます。
すべてのステージが終了したあとは後戻り(矯正した歯が元の歯並びに戻ってしまうこと)を防ぐために「リテーナー」という保定装置を1年間ほど装着していただき、クリアライナー治療が完了します。

 

クリアライナーの治療に必要な期間について

上の「10のメリット」の中でもお伝えしたように、クリアライナーは従来のブラケット矯正と比べて治療にかかる期間が比較的短いのが特徴です。
治療に必要な期間は患者さんのお口の状態によって異なりますが、おおむね以下の期間で歯並びの症状を改善することができます。

・部分矯正の場合=およそ3ヶ月から10ヶ月程度
・上下の歯全体の場合=およそ半年から2年間程度

 

クリアライナーが向いている・向かない方

[クリアライナーはこんな方にオススメです]

・歯並びやかみ合わせの乱れが軽度な方
・前歯のみなど、一部分だけの矯正をしたい方
・以前歯列矯正を受けたご経験があり、歯並びの微調整をお望みになる方
・営業職やサービス業など、歯列矯正をしていることを周囲の人に知られたくない方

[クリアライナーがオススメできない方]

・歯並びやかみ合わせの乱れが大きい方
・マウスピースの装着時間を守れない方
(定められた装着時間(1日あたり16~20時間程度)を守らなかった場合、矯正治療の効果が半減、もしくはまったく治療効果がでないケースがあります)

 

ブラケット矯正

ブラケット矯正とは、ブラケットという装置を歯に取り付けワイヤーで固定する従来のスタンダードな矯正方法です。
歯を動かす力が強く、歯並びやかみ合わせの乱れが大きな場合にも治療を適用することができます。
しかし、ブラケット矯正は矯正器具が歯の表面に来るためどうしても目立ってしまい、矯正をしていることが一目で分かる、という見た目の問題があるほか、矯正器具がお口の中を傷つけてしまうこともあります。
また、ブラケット矯正は一度固定した矯正装置を治療を終えるまではずせないため口腔内が不衛生な状態になりやすく、虫歯や歯周病を発症するリスクが上がるなど、少なからずデメリットも存在しています。
このように、見た目や機能面でのデメリットが複数存在するブラケット矯正ですが、現在はセラミックやプラスチックで作られた目立ちにくい矯正器具も登場しており、治療中の見た目は以前の歯列矯正よりも少しずつ改善されてきています。

 

[ブラケット矯正はこんな方にオススメです]

・歯並びやかみ合わせの乱れが大きい方
・上下全体の歯並びやかみ合わせをしっかり直したい方

[ブラケット矯正がオススメできない方]

・矯正していることを周りの人に知られたくない方
・矯正中の不快感や痛みに対してストレスを大きく感じてしまう方

 

歯並びの乱れで悩んでいる方へ ~歯列矯正Q&A~

Q.できるだけ短い期間で歯並びを直したいのですが・・・

A.症状によっては治療にかかる期間を短縮できますが、装着時間を守るのがもっとも大切な項目となります

歯並びやかみ合わせの乱れが軽度の場合には比較的短い期間で治療を完了できるケースもあります。
ただし、クリアライナー治療でもっとも重要なのは1日あたりの定められた装着時間の「16時間以上」をしっかり守っていただくことです。
過度の力をかけ、歯を動かす速度を速めることは可能ですが、強い力で急いで歯を動かしてしまうとかえって歯が動きづらくなったり、後戻りしやすくなります。
トラブルが発生するリスクをできるだけ減らして確実に歯並びを改善したい場合には、マウスピースの装着時間をお守りいただくことが最優先項目となります。

 

Q.矯正後に元に戻ってしまわないか不安です

A.矯正後にはリテーナーを装着して後戻りを防ぎます

矯正治療には「後戻り」という問題があります。
これは、矯正した歯が元の位置に戻ってしまう現象です。
クリアライナーやブラケット矯正が終了したあとにはリテーナーという装置を1年間ほど装着していただき、後戻りを防ぐ処置をします。

 

Q.矯正治療は何歳まで受けられますか?

A.歯や歯ぐき、あごの骨の状態が悪くなければ何歳でも治療が可能です

虫歯や歯周病で歯や歯ぐき、あごの骨に問題がある場合には矯正治療ができないケースがありますが、歯や歯周組織が健康な状態であれば何歳でも治療を適用することが可能です。
また、虫歯や歯周病にかかったご経験がある方でもきちんと治療を済ませていれば歯列矯正治療を適用できます。

 

Q.痛みを感じることはありますか?

A.歯が動くときには多少痛みを感じます

歯を動かす際にはどうしても多少の痛みを感じるケースが多く、逆に「まったく痛くない」という場合には歯が動いていない可能性もあるため、あまり良い兆候ではありません。
「矯正治療中に歯が痛む」ということは「矯正が順調に進行している」とお考えいただくと良いかと思います。
ただし、矯正中に夜も眠れないほど痛む、仕事や勉強に支障がでるほど強く痛む、といったケースではブラケット矯正の場合痛み止めを処方して様子を見るほか、クリアライナーであればマウスピースをはずして調整を行い、対処します。

 

Q.抜歯は必要なのでしょうか?

A.歯並びの状態により、抜歯を行うことがあります

八重歯や激しい乱杭歯(らんぐいば:歯が重なり合ってデコボコに生えている状態のこと)、または反対咬合(はんたいこうごう:下あごの前歯が上あごの前歯よりも前に突き出た「受け口」の状態のこと)などのケースでは抜歯を行う場合があります。
抜歯は必ず患者さんの同意を得た上で行います。
無断で歯を抜くことはありませんのでご安心ください。

 

Q.矯正を途中でやめることはできますか?

A.矯正方法によっては途中でやめることもできます

従来のブラケット矯正の場合、治療を途中でやめるときには装置をすべて取り外すことになるため、ふたたび歯列矯正を行う際にはイチから矯正器具を装着する必要があります。
クリアライナー矯正の場合は、患者さんのお口の状態によっても異なりますが、治療を途中でやめた場合でも再開時に1つもしくは2つ手前のステージまで戻ることでそのまま治療を継続できます。

 

Q.歯磨きは今までどおりで大丈夫ですか?

A.ブラケット矯正の場合はいつもより丁寧に、クリアライナー矯正であればふだんどおりのブラッシングでOKです

ブラケット矯正の場合は器具を歯に固定しますので矯正装置と歯の境目にプラークや汚れが付着しやすくなります。
このため、ブラッシングは専用の歯ブラシを使って念入りに行う必要があります。
取り外し可能なマウスピースを使用するクリアライナーの場合は通常の歯磨きを中心として、デンタルフロス、歯間ブラシなどを用いる歯間清掃を合わせて行うだけで基本的な歯のお手入れが完了します。

 

Q.虫歯や歯周病があると矯正はできないのですか?

A.お口の病気を治したあとに矯正治療を開始するのがベターですが、虫歯や歯周病を治しながら歯列矯正を進めていくことも可能です

虫歯や歯周病がある場合にはそれらの病気を治したあとに矯正を開始するのがベターですが、もし、治療中に虫歯や歯周病にかかってしまっても矯正治療と虫歯・歯周病治療を並行して進めていくことも可能です。
ただし、ブラケット矯正の場合、虫歯や歯周病の症状が進行して病気がかなり悪化しているケースではすべての矯正器具を取り外して治療を行うことがあります。
なお、ブラケット矯正の治療期間中に矯正装置を取り外したときには、ふたたび矯正治療を開始する際に器具の装着をイチからやり直す必要があります。

 

Q.片方の歯並びだけを矯正することは可能ですか?

A.可能ですが、結果的に両側の歯の矯正をお望みになる方が多いです

よく「片側のこの部分だけ、歯並びを直して欲しい」とご希望される方がいらっしゃるのですが、片方の歯並びを直すと今度は反対側の歯の並び方が気になってしまい、結果としてもう片方の歯並びの矯正を追加でお望みになる方が多いです。
もちろん、片側だけの矯正は技術的には可能ですが、歯並びの見た目や機能を改善する際にはバランスを考えて歯列矯正を行うことが大切ですので、矯正治療を受ける際には片側だけでなく左右両方の歯並びを直されることをおすすめします。

 

【クリアライナーで「口元の見た目」と「かみ合わせの乱れ」を改善】

今回はマウスピース矯正のクリアライナーの特徴と従来のブラケット矯正についてご紹介をさせていただきました。

歯並びの乱れは見た目の問題だけでなく、かみ合わせの悪さが原因で肩こりや頭痛など、さまざまな悪影響を身体におよぼすおそれがあります。
クリアライナーはブラケット矯正と比べて目立ちにくく、治療中に感じる痛みも少ない非常にすぐれた治療法のひとつです。

もし現在、原因不明の肩こりや偏頭痛などの症状がでていたり、歯並びの乱れでお悩みがあれば、クリアライナーを始めとする矯正治療で対処できる可能性がありますので、ぜひ一度、歯科医院で診察をお受けになることをおすすめします。

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