歯並びの悪さが及ぼす全身への悪影響と大人にもおすすめの矯正治療法

「風邪でもないのに頭痛がする・・・」

「最近やたらと肩がこるようになった・・・」

「疲れがなかなか抜けない・・・」

 

このような症状、心当たりはありませんでしょうか?
もし上記のような症状が続いている場合、歯並びやかみ合わせの乱れが体調不良の原因につながっている可能性があります。

 

歯並びの乱れは口元の見た目が悪くなるだけではなく、全身にさまざまな悪影響をおよぼします。
その理由は、歯並びが悪くなることでかみ合わせが乱れてしまい、あごの骨がゆがみ、さらに全身のゆがみに発展していくためです。
歯並びやかみ合わせの乱れが全身に影響をおよぼしているケースでは、歯列矯正を受けることで症状を改善できます。

ここでは「歯並びの悪さがおよぼす全身への悪影響」と「大人にもおすすめの矯正治療法」についてご説明をさせていただきます。

 

歯並びの悪さが原因でおこる身体の異常

良い歯並び・理想的なかみ合わせとは

良い歯並び・理想的なかみ合わせとは、「歯が左右上下に均等に並んでいる状態」を指します。
歯並びやかみ合わせのバランスが整っていれば全体の歯に均等に力が分散され、かむ筋肉やあごの関節にも負担がかかりません。
ただし、良い歯並び・かみ合わせの方も年齢を重ねるとともにかむ力が弱くなり、歯がする減る、あごの関節が変形してくる、などの現象が自然とおきてきます。
このため、現在は問題が無くても、今後、歯並びやかみ合わせに異常が発生する可能性は十分にあります。

歯並びやかみ合わせが悪いとどうなる?

歯並びやかみ合わせが良い方でも加齢とともに歯やあごに変化がおこりますが、年齢を経ることによる自然な変化ではなく、もともと歯並びやかみ合わせが乱れている方はかみ合わせの悪さが原因で

 

「かたよった一部分だけ歯がすり減る」

「かむ力が大幅に衰える」

「あごの関節が大きく変形する」

 

といった症状に発展しやすく、最終的にはあごの骨がゆがみ、その後全身に悪影響がおよんできます。歯並びやかみ合わせが悪いことで発生する身体の異常には、以下のようなものがあります。

 

1.虫歯、歯周病(歯や歯ぐきの異常)


かみ合わせや歯並びが乱れていると歯についたプラーク(歯垢)を歯磨きで落としにくくなります。
また、人の歯は普段の生活で常にかみ合わせの部分がぶつかり合うことで歯の表面の汚れを落としているのですが、かみ合わせに異常があるとこの自浄作用が薄れてしまい、プラークや食べカスなどの汚れが歯にたまりやすくなってしまいます。
すると、プラークや食べカスに含まれる糖分をえさにしている虫歯菌や歯周病菌などのお口の中の細菌が活発化してしまい、虫歯や歯周病を発症するリスクが高まります。

 

2.偏頭痛、めまい、貧血(頭部の異常)


食べものをかむ側頭筋(そくとうきん)という筋肉は、あごの関節から側頭部にかけてつながっています。
かみ合わせや歯並びが乱れると側頭筋にかかる刺激がかたよってしまい「常に緊張した状態」なりやすく、過度に筋肉が緊張することによって偏頭痛やめまい、貧血などをひきおこすケースがあります。

 

3.いびき、鼻づまり、飲み込み困難(鼻やのどの異常)


人間はどんな人でも就寝中に仰向けになるときがありますが、かみ合わせが正しければ寝ているときでも上下のあごの歯がしっかりかみ合っているため下あごが後ろ(床の方向)に落ちることはありません。
しかし、かみ合わせが乱れている人の場合は上下の歯がかみ合っていないため、下あごがそのまま後ろに落ち込んで気道がふさがってしまい、いびきをかきやすくなります。
また、下あごの位置が後ろに下がることで鼻呼吸がしづらくなり、鼻づまりの症状がでることもあります。
さらに、就寝時以外にも下あごの位置が下がることで気道が狭まり、食べ物や飲み物を飲み込みにくくなるケースも珍しくありません。

 

4.舌の痛み、発音障害(舌の異常)


上下の前歯のすき間が開いてしまったり(開咬:かいこう)、上あごの前歯が前方に突き出ていると(上顎前突:じょうがくぜんとつ)、ついつい舌を前歯のあいだに差し込んでしまったり、食べ物を飲み込むときに前歯の裏側を舌で強く押すクセがついてしまいます。
この舌のクセを「舌癖(ぜつへき)」と呼びます。
舌癖が日常化すると舌が歯に当たって舌に痛みを感じるようになるほか、前歯のすき間に舌を押し込むクセがあると言葉を話す際に「サ行」や「タ行」、「ナ行」「ラ行」などの発音に障害がでることもあります。

 

5.疲れ目、視力の低下、目の充血、眼底痛(目の異常)


目とかみ合わせや歯並びの乱れは一見すると関係がないように見えますが、実は口と目は非常に密接な関係でつながっています。
普段、私たちはあごを動かして会話をしたり食べ物を咀嚼していますが、かみ合わせや歯並びが乱れるとあごから口や鼻、目、脳に伝わる刺激が各器官に大きな負担をかけてしまい、疲れ目や視力の低下、目の充血、眼底痛などの症状をひきおこすことがあります。

 

6.口が開けにくい、あごを動かす度に音がする、顎関節症(あごの異常)


歯並びやかみ合わせが乱れていると上下の歯がしっかりかみ合わなくなり、かたよった力があごにかかるようになります。
すると、あごの筋肉のバランスが崩れてしまい、口が開けにくくなる、あごを動かす度に音が鳴る、といった症状がでてくるほか、かみ合わせの乱れが原因で顎関節症をひきおこすケースもあります。

 

7.首が回らない、肩がこる、腰痛、椎間板ヘルニア(首、肩、腰の異常)


ものをかむ筋肉は側頭筋だけではなく、あごから首、肩へとつながる広頸筋(こうけいきん)という筋肉もあります。
かみ合わせが乱れているとかたよった力が広頸筋にかかりやすく筋肉が緊張してしまい、首が回らない、肩がこる、などの症状が発生することがあるほか、側頭筋や広頸筋が無意識にバランスを取り直そうとして背骨や腰椎に過度な力がかかってしまい、腰痛や椎間板ヘルニアなどを発症することもあります。

 

8.耳鳴り、難聴(耳の異常)


かみ合わせや歯並びの乱れが原因で下あごの骨が後ろ(気道側)に下がると鼻とつながっている耳管(じかん)という耳の器官が圧迫されてしまい、耳鳴り難聴などの症状をひきおこすことがあります。

 

9.息切れ、冷え性、高血圧、不整脈(循環器系の異常)


かみ合わせや歯並びが乱れているとあごの筋肉を始めとして首や肩、背中や腰などの全身の筋肉が緊張してこわばった状態になります。
すると、筋肉の中を通る血管が圧迫されて血液の流れがとどこおりがちになり、息切れや冷え性、高血圧、不整脈などの循環器系の異常や不調がおこることがあります。

 

10.胃腸障害、便秘(消化器系の異常)


かみ合わせや歯並びが乱れていると食べ物をしっかりかめなくなり、十分に咀嚼が行われないまま食べ物を飲み込みやすくなります。
きちんと噛み砕かれていない食べ物は胃や腸に負担をかけやすく、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの胃腸障害や便秘の原因になることがあります。

 

11.顔面神経痛、手足のしびれ(神経系の異常)


かみ合わせが乱れているとあごの筋肉を始めとして口輪筋や頬の筋肉など、顔の表情をつかさどっている表情筋の全体のバランスが崩れて顔面の神経を刺激してしまい、顔面神経痛を発症するケースがあります。
また、かみ合わせの乱れが全身の筋肉の緊張をひきおこした結果、神経が圧迫されて手足のしびれなど神経系の異常がおきる場合があります。

 

12.アトピー(皮膚の異常)


これはまだはっきりと解明されてはいないのですが、かみ合わせの乱れはアトピー性皮膚炎などの皮膚の病気とも関係があるとされています。
かみ合わせが乱れるとあごの筋肉から脳に伝わる信号に異常が生じてしまい、脳の免疫機能に変化がおきてアトピー性皮膚炎を発症するのではないか、と考えられており、現在、アトピー性皮膚炎とかみ合わせの関係について研究が進められています。

 

13.不眠症、うつ病(脳や精神状態への影響)


かみ合わせの乱れはあごの骨や筋肉ばかりではなく、頭蓋骨のゆがみをひきおこすこともあります。
すると、頭蓋骨の中を通っている脳脊髄液の循環が悪くなり、脳機能が低下して不眠症やうつ病がひきおこされるケースがあります。
また、上記の身体的な影響以外にも、自分のかみ合わせや歯並びの悪さに対してコンプレックスを持っているとそのことが原因となって常に物事をネガティブにとらえるようになってしまい、不眠症やうつ病を発症する場合があります。

以上のように、かみ合わせや歯並びの乱れは歯だけではなく全身にさまざまな悪影響をおよぼします。
特にかみ合わせの乱れは精神面にも影響がでてくるため、もし、肉体的・精神的な不調が続くようであれば一度歯科医院で診察を受け、かみ合わせや歯並びの状態を確認しておくことをおすすめします。
次の項目では、かみ合わせや歯並びを直す歯列矯正についてご紹介します。

矯正治療の種類

かみ合わせや歯並びは大人になってからでも直すことが可能です。

欧米などの先進諸国では当たり前になっている歯列矯正ですが、日本国内では「矯正治療は子どもが行うもの」という認識をされている方が少なくありません。
しかし、歯列矯正は大人になってからでももちろん行うことができ、成人の方のかみ合わせや歯並びの乱れも矯正治療によって直すことが可能です。
矯正治療には主なものとしてマウスピースを使ってご自宅で歯並びを整える「マウスピース矯正」のほか、金属製のブラケットとワイヤーを歯に装着する「ブラケット矯正」の2種類の治療法があります。

クリアライナー(目立ちにくいマウスピース矯正)

クリアライナーとは、透明で目立ちにくいマウスピースを歯に装着して歯並びを整えていく矯正治療です。
歯並びの乱れが比較的軽い場合に適しており、ご自宅で就寝中などの時間帯を利用して歯並びを直すことができます。

マウスピース型矯正「クリアライナー」の10のメリット

  1. 透明で目立ちにくい
    透明で目立ちにくく矯正をしていることが人に知られにくいのが特徴です。
  2. いつでも取り外し可能
    お食事の際や歯磨きのときなど、いつでも自由に取り外すことができます。
  3. 虫歯や歯周病になりにくい
    マウスピースは歯磨きの際に取り外せるためいつもどおりのブラッシングが可能。
    虫歯や歯周病になる確率が従来の矯正治療よりも低くなります。
  4. 歯並びを微調整できる
    治療に使うマウスピースはステップごとに取り替えるため、その都度、歯の微調整をしながら歯並びを整えることが可能です。
  5. 金属アレルギーをおこさない
    ポリウレタン製のマウスピースを使うため、金属アレルギーをおこす心配がありません。
  6. 普段どおりのお食事を楽しむことができる
    マウスピースはいつでも取り外すことができ、治療期間中でも普段どおりのお食事を楽しめます。
  7. 口の中を傷つけることがない
    従来の金属製の矯正器具は頬の内側を切ってしまい出血や腫れなどが生じるおそれがありますが、クリアライナーで使うマウスピースはポリウレタン製のため口の中を傷つけません。
  8. 口腔内を清潔な状態に保つことができる
    歯磨きの際にマウスピースを取り外せるため歯や歯ぐきをしっかり清掃でき、口腔内を清潔な状態に保つことができます。また、取り外したクリアライナーは歯ブラシでかんたんにお手入れをすることが可能です。
  9. 治療にかかる期間が比較的短くて済む
    クリアライナーは検査から治療完了まで平均で約1年半、リテーナーを装着する保定期間が1~2年間(※)と、従来のブラケット矯正と比べて治療にかかる期間が比較的短くて済みます。
    (※ 歯並びやかみ合わせの状態によって治療にかかる期間が異なります)
  10. 治療中の痛みが少ない
    従来の金属製ブラケットを使用する歯列矯正は治療中に歯に強い痛みを感じることがあります。
    ポリウレタン製のマウスピースを使用するクリアライナーは歯を移動させる量があらかじめ最小限に決められているため過度な力がかかりにくく、治療中に感じる痛みは通常のブラケット矯正よりも軽減されます。

 

こんな方に向いています


  • 歯並びの乱れが軽度な方
  • 前歯だけなど、一部分のみの矯正をお望みの方
  • 以前矯正治療をしたことがあり、歯並びの微調整をご希望の方
  • 営業職や接客業など、矯正をしていることを周りの人に知られたくない方

クリアライナーのデメリット

  • 歯並びやかみ合わせの乱れが大きい場合には治療を適用できません。
  • 歯を動かす力が従来の矯正治療よりも弱いため、あらかじめ決められたマウスピースの装着時間を守らなかった場合には治療の効果が半減、もしくは矯正効果がまったくでなくなることがあります。

ブラケット矯正(スタンダードな従来の矯正治療)

ブラケット矯正とは、金属やセラミック、プラスチックなどでできているブラケットを歯に装着してワイヤーで固定することで歯を動かしていく治療法です。
ブラケット矯正は主なものとして、歯の表側に器具を取り付ける表側矯正と見えにくい歯の裏側(舌側)に器具を装着する裏側矯正の2種類の矯正方法があります。
ブラケット矯正は矯正器具が外から見えるため目立ってしまう、というデメリットがありますが、歯を動かす力が強く、幅広い症状に対応できるのが特徴です。

ブラケット矯正のメリット

歯を動かす力が強く、歯並びやかみ合わせの乱れが大きいケースでも治療を適用できる

こんな方に向いています


  • 歯並びやかみ合わせをしっかり直したい方
  • 歯並びやかみ合わせの乱れが大きい方
  • クリアライナー治療を適用できなかった方

ブラケット矯正のデメリット

  • 口を開けたときに矯正器具が目立ちます。
  • 矯正器具が口の中を傷つけてしまうことがあります。
  • 歯を動かす力が強いため、治療期間中に歯に痛みを感じることがあります。
  • 一度器具を取り付けたあとは取り外しができないため食べカスやプラークが矯正器具と歯のあいだに付着しやすく、虫歯や歯周病にかかるリスクが上がります。
    (※ 治療期間中には矯正用の歯ブラシや清掃用具を使うことで歯や歯ぐきのお手入れがしやすくなります)
  • ・マウスピース矯正と比べて治療費用が比較的高額になります。
    (※ 症状や治療方式によってかかる費用が異なります)

歯列矯正で「健康」と「美しい口元」を取り戻す

「歯並びの悪さがおよぼす全身への悪影響」および「大人でも可能な矯正治療の種類」についてご紹介しました。
今回の記事をお読みになり、意外なほどかみ合わせや歯並びの乱れが全身に影響をおよぼしていることに驚かれた方も多いのではないでしょうか。

 

矯正治療は「目立つから」「痛いから」という理由で避けられがちですが、記事の中でご紹介したように現在は目立たず痛みも少ないマウスピース矯正の「クリアライナー」も登場しており、矯正していることを人に知られずに歯並びを直すことも可能です。
もし、歯並びやかみ合わせの乱れでお悩みがあり、矯正治療を受けることをお考えであれば、ぜひ一度、目立たない矯正のクリアライナーをご検討してみてください。

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