「歯磨き中に歯ぐきから血が出る・・・」
「歯ぐきが赤く腫れてきた・・・」
「口の中がどうもネバネバする・・・」
上記のような症状が出て「自分は歯周病かもしれない」と不安になった経験はおありでしょうか。
歯周病とは、歯の周辺組織である歯ぐきや歯を支えているあごの骨にさまざまな異常が起きる病気であり、症状は初期の歯肉炎、および中期と重度の段階である歯周炎とで異なります。
現在は、精密治療によって歯周病にかかっても歯を残せる確率は以前より高くなっていますが、歯周病の症状が重くなると歯が抜けおちてしまうなど、重篤な症状が発生することも珍しくありません。
ここでは、「手遅れになる前にやっておきたい!歯周病の治療法とケア方法」についてご説明します。
目次
歯周病とは
歯周病は歯の周辺組織に起きる病気です
歯周病とは、歯に発生する虫歯とは異なり、歯の周辺組織である歯ぐきや、歯を支えているあごの骨に異常が起きる病気です。
歯周病の原因
歯周病はお口の中にひそんでいる細菌の中でも、特に歯に付着した歯石にひそんでいる「歯周病菌」によって引き起こされます。
歯石は食べかすや細菌の死骸が硬くなった物質でそれ自体には毒性はないのですが、歯に付着した歯石にはプラーク(歯垢)がたまりやすくなり、プラーク中にひそんでいる歯周病菌が毒素を出すことによって歯ぐきやあごの骨にさまざまな異常が発生します。
歯周病の症状
歯周病は初期・中期・重度と段階によって発生する症状が異なり、治療法も変わってきます。
初期段階の歯肉炎であれば、ご自身で行うセルフケアによって症状を改善することも可能ですが、中期・重度にまで歯周病の症状が進んでしまうと、歯周病治療を専門的に行っている歯科医院での治療が必要となります。
歯周病の進行度合いについて
1.初期の歯周病(歯肉炎)
初期段階の歯周病は歯肉炎と呼ばれ、歯ぐきに炎症が起きている状態を指します。
歯磨き中に歯ぐきから出血するなど、症状は軽微のため、自分自身ではなかなか気づきにくいのが歯肉炎の特徴です。
○[自宅でケア可能]
歯肉炎は歯磨きを中心としたセルフケアを行うことで症状を改善出来ます。
2.中期の歯周病(歯周炎)
中期の歯周病は歯周炎と呼ばれ、歯ぐきに炎症が起きるほか、歯ぐきから膿が出てきたり出血するようになり、歯を支えているあごの骨が溶け始めます。
中期段階の歯周病である歯周炎になると、歯が浮いているような感覚が出たり、冷たい水がしみるようになり、口臭が発生します。
△[自宅でケアが可能な場合もある]
歯周炎は歯石がついていない場合は自宅で歯磨きを使って行うセルフケアが有効ですが、歯石が歯についている場合や症状が進んでしまっているケースでは歯科医院での治療が必要となります。
3.重度の歯周病(歯周炎、歯槽膿漏)
重度の歯周病は歯周炎または歯槽膿漏と呼ばれ、歯ぐきが赤黒く変色してぶよぶよと熟れきったトマトのような感触になり、歯ぐきから膿が出てきたり出血するほか、歯を支えているあごの骨の大部分が溶け、最悪のケースでは歯が自然に抜け落ちてしまうこともあります。
×[自宅でのケアは不可能]
重度の歯周病は自宅でのケアはもはや不可能であり、歯周病治療を専門的に行っている歯科医院での治療が必須となります。
歯周病の治療方法
中期以降の段階にまで進行してしまった歯周病は自分で治すことは不可能なため、歯科医院で専門的な治療を受ける必要がありますが、初期段階であれば歯石取りなどを行うことにより、歯周病の症状を軽減して病気を完治させることも可能です。
歯周病の治療内容について
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歯石除去(スケーリング)
専用のスケーラーや超音波機器を使い、歯に付着した歯石を取り除きます。歯周病を完治させるためには、歯周病菌を始めとした細菌の棲家になっている歯石を除去する必要があります。
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歯周ポケットのクリーニング
歯と歯ぐきの間の歯周ポケットに付着した歯石や膿を専用の器具を使って落としてゆきます。治療は局所麻酔をかけて行います。
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フラップ手術
歯周ポケットのクリーニングでは取り除くことが出来ない歯ぐきの奥深くにある膿や歯石、プラークを歯ぐきを切開して除去します。
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エムドゲインなどの組織再生手術
エムドゲインは歯周病によって溶けてしまった歯根膜やあごの骨を再生させる精密治療です。エムドゲインなどの組織再生手術は「歯ぐきが大きく下がっている」等の重篤な歯周病の症状を改善するのに効果的です。
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抜歯、抜いた歯を補う義歯治療
手を尽くしても治療が出来ない場合には、抜歯での処置を行います。抜歯後には歯が失われた部分に補う義歯をインプラントや部分入れ歯、ブリッジなどから選択していただき、治療を行うことが可能です。
歯周病のケア方法
歯周病は初期の段階であればご自身で行う毎日のブラッシングを中心としたセルフケアで症状を改善することが出来ます。
ただし、中期段階以上に症状が進んでしまった場合には歯科医院で治療を行うこととなります。
毎日のブラッシング
歯周病をケアする目的で歯をブラッシングする場合には、「バス法」という方式で歯と歯ぐきの境目を磨くようにすると効果的に歯周病の症状を緩和し、改善することが出来ます。
バス法の磨き方は、
- 歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に「45度」の角度で当てる。
- 歯ブラシの毛先が折れない程度の力で「往復10回」「1本から2本ずつ」境目部分を磨く。
バス法でブラッシングをしていると、歯肉炎によって腫れた歯ぐきから出血することがありますが、歯ぐきに痛みを感じない強さで適切に磨けているのであれば多少の出血は気にしなくて大丈夫です。
正しい方法でブラッシングをすることにより、じょじょに歯ぐきからの出血や腫れは引いてゆきます。
歯科医院で定期的に受ける検査&クリーニング
歯周病を予防するためには、ご自身で行う正しいブラッシングのほかに、定期的に歯科医院で歯周病検査とクリーニングを受けることが大切です。
歯科医院で行う歯周病検査は歯周病の有無を調べるほか、虫歯やかみ合わせの異常など、お口全体のチェックも合わせて行い、同時に歯のクリーニングにより歯石やプラーク、歯の汚れを落として歯周病を未然に防ぐためのケアをします。
歯周病は早期発見、早期治療が重要となります
歯周病は早いうちに発見すればするほど、歯を残せる確率が高くなります。
逆に、歯周病をいつまでも放置してしまうと、歯を失う確率が高くなってしまいます。
健康な歯をいつまでも保ち続けるためにも、まずは、ご自身で出来る毎日のブラッシングをしっかりと行い、合わせて歯科医院で受ける定期検査とクリーニングを利用し、歯周病を予防する意識を常に持つようにしましょう。